5人これから

こんな子育て、こんな家族がありますという話。

山村留学 登校数日して3人そろって言った言葉

もう十数年前のことです。

「いやぁ、楽だわぁ」

3人が揃ってしみじみ言った言葉。

山村留学を決め、3か所見学。

一カ所目は発達障害の子は受け入れられないと断られ、

二カ所目は小学校はウエルカムだったけれど、子どもを探るような中学校の教職員の様子にこちらから辞退。

三カ所目がこの地域でした。

長男は中学校へ。次男、娘は小学校。

夫は仕事で自宅に残り、母子4人で移り住みました。

公立学校に通うのだから

勉強をすることに変わりないのですが、

 人数の少なさが、こんなに子どもたちの表情を柔らかくするのかと驚き、

今まで、子どもたちなりに頑張っていたのだと理解できました。

そうして始まった山村留学 (通った小学校は閉校しました)

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Peggy ChoucairによるPixabayからの画像


一緒に遊ぶ子がいない

自然は身近、いつもある自然は二か月もすると日常になり、

感動は少なくなっていきました。

でも、沈む太陽の大きな濃いオレンジ色と、

星の輝きは何度見ても大感動で、

今でも忘れられないです。

地域に昔の公園の敷地だけは残り、遊具はなし。

映画館もあったとか。

小さな小さなお店がひとつ。

このお店、今はないだろうな。

放課後、子どもたちは、毎日あたりを走り回っている、

なんてことはなかったんです。

子どもたちは一人以外、ほぼ毎日、少し離れたところの野球クラブの練習に行っていました。

子どもの忙しさは都市部と変わらなかったのです。

これにはびっくりでした。

遊ぶ人が残っていないんです。

次男に、野球クラブに行きたいと言われましたが、親の付き添いが必要で、土日、放課後全部使うので諦めてもらいました。

 

子どもを地域で育てている

我が家の子どもたちにとって、山村留学の何が良かったのか。

それは、地域の人たちみんなで子どもを育てていたこと。

山村留学できている子どもたちもその仲間に入れてくれました。

地域の文化祭の盛り上がり

地域の文化祭は、地元の小中高校、大人のサークルもたくさんあり、作品がびっちり掲示されています。

子どもたちの作品にはたくさんの賞がついています。

ステージ発表は大人たちが発表して盛り上がっています。

大人の作品展もたくさんあります。

こうやって、子どものときから地域とつながり、年齢なりの楽しさを味わっていくんですね。

地域まるごとの運動会

地域の運動会があり、地区ごとにチームを組み競技をします。

大人も子どもも地域まるごと参加します

学校の行事

地域行事の他に定番の学校の行事があります。

日本全国、決められた時間数を学ぶのですから、行事が特別多くはないのですが、一つ一つが濃いのです

小学校の運動会は、地域の大人の参加者が子どもより多くいます。

子どもたちは地域の大人の競技参加の準備やお手伝いに大忙し。

競技以外の時間は、いつも何かをしていて、休んだり、順番を待っている時間なんてありません。

地域の人が参加する競技で「みかんひろい」の場面がありました。

おばちゃんたちが、ものすごい勢いでみかんを意地汚く奪い合うのです。

こういう人間らしさがあちこちに見られ、大笑いです

学芸会は子どもみんなが主役のようなもの

長いせりふ、長い出番、完成度も高い劇、歌、お笑い。

子どもってこんなにできるの? と感動ものでした。

先生はいつも近くで関わっています。

親も全員PTAの役員で、恒例のPTA劇もあります。

山村留学なので覚悟してなんにでも参加しますが、これをずっとこなしてきた地元の保護者のパワーは絶大です。

日々の校内役員活動

子どもたちは、児童会の委員、クラス委員に全員なっていたと思います。前に出て話すこともしょっちゅう。

ただ、うまくいかなくなると居場所はなくなるかもしれません。

高学年の次男は、同級生を傷つける言葉を言うことが何度もあったようです。

なんとか仲間に入れてもらえたのは、先生が取り持ってくれていたからだと思います。

夜は、地域のサークル活動と大人が集まる飲み会

昼のサークル活動もあるのですが、夜もミニバレー、バトミントンなど活発です。

そして、学校行事のあとや、節目には学校関係者と一緒に飲み会があるんです。

小学校の他に中学校も飲み会があります。

町内会のゲーム大会などもあり、合わせると結構な頻度。

子どもを留守番させて飲み会に出かけるのは、母子で生活している身には疑問符です。

ほんとに活動的な毎日、これが地域の暮らしみたいです。

(この小学校は閉校しました)

木工館でえこひいき

この山村は、木工が盛んでした。

次男は木工が好きで、木工体験コーナーにときどき行きました。

指導係のおじさんは、次男が地域に住んでいるとわかると、対応がより丁寧になり、いろいろな物を作らせてくれました。

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Emilian Robert VicolによるPixabayからの画像


受付終了時間が近づいていたのですが、「作れますか?」と、他の地域からきた親子が係のおじさんに声をかけました。

次男が製作の真っ最中だったからできると思ったのではないでしょうか。

すると、おじさんは「もう時間だし材料がないから」ときっぱり断ったのです。

そして、次男には続けて手厚く教えてくれました。

びっくりしました。

こういうのをえこひいきっていうんだなぁと。

親以外の人が、地域に住んでいるというだけでえこひいきをしてくれるんです。

次男は気持ちよさげにみえました。

大人も子どもも育つ

店が近くにないので、調味料や足りないものは近所の人に助けてもらう。

老老介護で皆で助け合っている。

だれかはだれかの親戚。

そんな地域で、

PTAの一人は

「今度山村留学で来た母親は腹黒いから気をつけろ」とか、

「子どもが乱暴なことをしてきた」と私たち親子について上手に噓を言いふらしました。

大人のいじめ初体験は、ヒット性の辛さでした。

激怒して文句を言ったりと、まるでわたしは小学生です。わたしも育ちなおしをしながら、子どもたちとの生活を中心にして楽しみました。

最初は気付きませんでしたが、こういう嫌なことも含めた、地域まるごと、全ての世代との関わりで、大人も子どももいろいろ見えてくるのかなと。

でも、もう見たくないです(笑)

娘が最初に通った山の幼稚園は、このような、地域そのものを園生活に取り入れていました。今さらながら、園長の教育理念に納得です。

それにしても、なんて贅沢な時間を過ごしたんでしょう。