5人これから

こんな子育て、こんな家族がありますという話。

新聞奨学生:ASD息子の職場にお願いしたこと

実は、息子がどのようにして新聞販売店になじめたのかわからないのです。

記憶はおぼろげですが、わたしが知っているのは、2回辞めそうな危機があったこと。

 

新聞配達奨学生の仕事で

「未着」

これは、新聞が購入者に届いていないということ。

配達員ごとに、毎月この未着をカウントし、一定数になると罰がありました。

これは、息子が働いた販売店独自のルールと思います。

一定回数で減給、それでも増え続けると休日が減っていく

とペナルティーがレベルアップしていくのです。

 

 

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PexelsによるPixabayからの画像

息子が言うには、

「俺は絶対配っている」

 

いろいろ話をきいていると、

配達した後にいたずらや盗難で抜かれることがあるので

奥までぐいっと入れることになっていると。

そんなことしていたら時間がかかるから奥まで入れていないときがあると。

 

それをきいて思いました。

もしかして、職場で未着と言われたとき、「次は気を付けます」という態度や言葉がなかったのではないだろうか。

あるいは、販売店の社員は、細かく説明しないとわからないなんて思いもしないで、ただの意固地なやつと思ったのでは。

 

忘れてしまったのですが、月なかばに未着の数がいくつかきいたら、両手いっぱいにせまっていたような・・・

それだけ注意され続けて、未着が減らないって・・・

自分は正しいと思い、改善することすら思いつかない・・・

そう、まったく悪いと思っていない・・・?

 

息子に通じないところ

ここが今一つ息子に通じないところ 

 

間違いなく配ったかを問題にしているのではなく

間違いなく相手に届くようにしたかがポイントかと。

 

そして、未着かどうかを決めるのは、配達員ではなく新聞購読者。

抜かれないぐらい奥まで入れないと、結果として配ったことにならない。

あなたは間違っていないけれど、

あなたの仕事は購読者に届くところまで。

  

この話は、たまたま息子と電話で話していたときの話題。

眠い、だるい、電話番や、拡大のための新聞配布などで、どんどん仕事が増え、

働き始めたころより仕事の時間数が増えているって。

その話の流れで、未着のペナルティーで休みがずっとないのでした。

 

・・・息子が困ってわたしに相談したわけではないのです。

そういう問題意識もなかったという。

ここは、まさに受動型。

息子の職場にお願い

夫さまは、契約違反だと目を△にして言っていました。

息子の仕事に口を挟む気はなかったのですが、ここで言わないと息子が壊れるのではと不安がよぎって。

売店には、わたしが電話をしました。

話したことは

  • 本当にお世話になっている
  • 高卒の子たちを預かって仕事を教えるのがどれだけたいへんか
  • 息子は仕事を覚えるときにたくさんめんどうをかけているのもわかっている
  • こういう子たちに仕事を教えるには、目に見えるペナルティーが必要なこともわかる
  • お金を減らされるのはしかたない
  • 怒られてもあたりまえ
  • 未着が多い息子が全面的に悪い

 

こちらのお願いはただひとつ、

事故や体調が心配なので、休みがずっとないのだけはやめてほしいと。

 

わたしの言葉にイラついているのが電話越しでも伝わってきたけれど、

若い子に教えること

店の戦力にするのがどれだけたいへんか

というようなことを話したとき

ただのクレーマーではないと思ってくれたのか

口調から毒気が消え、軟化し、

あっさり「わかりました」

と言われました。

 

このとき初めて、今まで学校との話し合いで伝わらなかった、失敗してきた経験が生きてきたと思いました。

 親が職場に口出ししたのは良かったのか

それから数か月、

息子は、ペナルティーを気にしていないような印象をうけました。

あと〇回未着になっても大丈夫とか豪語していましたから。

 

新聞が届かずに困っているお客さんのことは想像できない?

お客さんに新聞が届いていないと言われ、謝っている販売店の状況は想像できない?

まだ心の理論を通過できていないのかな

でも分かっているところたくさんあるのに

こういう捉え方について、参考になる本は下記です。

 


「心の理論」テストはほんとうは何を測っているのかー子どもが行動シナリオに気づくとき

 

また、心の理論が何かについては下記の脳科学辞典が詳しいです。

https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%BF%83%E3%81%AE%E7%90%86%E8%AB%96

 

やっぱり、お金のペナルティーだけじゃ伝わらないのかなぁ

親心は、甘かったのかなぁとも

 

口出ししたからなんとかもったのか

そのまま様子をみたほうが本人にとってよかったのか

こういうのって分からないですよね。

でも、そのときの勘に従うしかないのかと。

 

わたしは、母親の勘はとってもあてになると思っています。

その行動した結果を引き受けるのも母親ですし。

 

このあと何がどうなったのかわからないけれど、

未着は許容範囲まで減ったらしい。

売店はよっぽど人がいなかったのか、息子はそのまま働き続けました。

生きる術が身についてきたのか

 確か、きっちりやる子と思っていたのですが・・・

ペナルティーを逆手にとって気楽に働けるのは、生きていくには大切ともいえるし、

大人になってきたともいえるけれど、

真面目すぎるわたしの価値観とずれがあります。

母親の呪縛から離れてきたのか?

さいころから二人三脚、

トラブルが多く独特な育ちをする発達障害の子

気にかけて守り、育ててきた母親との関わりはとても強いです。

その母親との距離をおくことは重要

成長した今、はっきり感じています。

カミングアウトについての迷い

こういう、「わがままで理屈っぽい、言いわけが多い」という裏側に、

独特の考え方があるということ、

わざと事を荒立てているわけではないし

それほど嫌なやつでもないってこと

どのようにしたらわかってもらえるのでしょう。

 

売店ASDとカミングアウトしたほうがよいかを考えましたが

それを話すということは、それを理由に何かの配慮をお願いするということ

 

自分の仕事をするだけでも大変な販売店の人たちに

何か対応してなんてこと言えるわけがなく

だったら辞めてよってことになるかと。

 

なにより、息子はじぶんがASDという自覚がうすいようす。

何度もASDについて話したことがあるけれど

なんか素通りするのです。

そして、本人へのカミングアウトは調子のよいときがよいと医師からアドバイスをもらっていました。

 

今、掘り下げるときではないと思い、様子見をすることにしました。

 

もうひとつの辞めそうな危機について、続きます~